8番倉庫

長文置き場

金カム207話「塹壕から見えた月」感想

やっと久しぶりに現在の鶴見中尉のお姿が見れてうれs…ぜ、全部見せてる…
唐突なノルマクリアに動揺を隠せない。どうしてみんなカメラに向き直るんだ。基本的に股間は隠すものという至極真っ当な態度を見せている尾形の方がむしろおかしいみたいじゃないですか!!(狂った状況で正常なままの人間が一番狂っている)
しかし、かなり鍛え上げられたお身体であるという事は時折垣間見える筋肉や身体能力からも分かっていましたが、やっぱバッキバキなんですね。門倉部長とは大違いだ。カッコイイ…最前線走るだけある…尾形とスチェンカしてほしい(どうして尾形の傷を増やしそうなこと言うの?)

「まさか按摩のふりをして我々の動きを探っていたとは。この皮の持ち主は大した度胸だ」
「それにしても有古。よくぞ雪崩の中から死体を見つけ出したな」
鶴見が既に"有古は都丹を殺していない"と知った上で言っていると思うと物凄くイヤらしい揺さぶりのオンパレードです!! 鶴見中尉こういうとこあるよね〜「高貴な血統のお生まれだからな」を筆頭としてさ~(あれは隠し事も無い中での煽りだから別格だが)
ナチュラルにサディストなんだろうな。そういうのわりと嫌いじゃないです!
肩を抱いたり手を掛けたりしながら話しかけて誘導するのも鶴見の十八番。こういう風に話されると圧迫感がすごいんですよね…私も実際やられたら有古みたいな気まずげな反応しか出来なかった覚えがある。そう考えると膝を撫でるというかなり親密度の高い接触をされながら「たらしめが…」と笑う余裕があった尾形の反応の強かさは今も際立っているな。あるいは尾形は、こういうパワハラ的な接触はされ慣れていて耐性があったとか(悲しい想像)

「運が悪ければ…刺青人皮の暗号が春の山菜の肥やしになっていたかもしれない。あるいは、野犬が掘り起こして餌になっていたかもしれない」
「一枚でも欠けたら金塊は永遠に、誰にも見つからない可能性があると思うと、ひやりとする話だな…」
そうなんですよね。杉元が初め出くわした酒飲みのオッサンもヒグマに食われかけてましたし、何人分かの刺青が永久に失われる機会なんていくらでもあった。ただでさえ脛に傷のある人間ばかりで平穏無事に暮らせる確率は普通の人よりずっと低いし、それに金塊なんて興味がなく樺太にまで渡ってしまっていた岩息の例もある。刺青人皮が全員分揃わないと解けない暗号で、そしてそれだけが金塊の在り処を示す唯一の道標だとしたら、あまりにもリスキーすぎる。投獄されて監視もされて、それしか方法が無かったと言えばそれまでですが…確実性が無さ過ぎるのではないだろうか。まるで、むしろ永久に失われた方が望ましいとでも言うような…

この鶴見の言葉はどういう意図の発言なんだろうな。二通り考えられます。ひとつは今言った“暗号そのものへの疑念”を抱いているがゆえの述懐。そしてもうひとつは、この有古の造反を燻り出すような遣り取り自体が、有古が「都丹のものだ」と偽って差し出してきた人皮を入手するためのものだったが故の…という可能性。
有古が出してきた人皮が本物か偽物か、という所が問題なんですよね。以前夏太郎が賭場で掴まされた偽刺青人皮が一枚土方勢にはあるので、都丹にそれを土方が託していて、今回の偽装に用いた…という事も考えられなくもないですが。有古が個人的に本物を所有していた、という可能性も十分あるんじゃないだろうか?
偽人皮は鶴見陣営発なわけだから、まだ判別方法も土方勢では分からない以上渡せばすぐに見破られる危険もあるし。
鶴見陣営は、まず有古が都丹を殺すかどうかを試し、そして殺さなかったとして土方陣営へ行く素振りを見せるかどうかを試した。もし都丹と手を組むとしたら、都丹の死を偽装するために、既に持っている刺青人皮を出してくる筈…みたいな。まあそれだとその持ってた一枚を有古が入手したのはどのタイミングなのよって話になるけど。

でも多分有古が血だらけになって決死の思いで「全部盗ってきた」と抱えてきた刺青人皮は、十中八九殆どが偽物で…それを考えると可哀想で可哀想で…;;
「これが中尉殿の持っているすべての刺青人皮でしょうか?」「そうだ(闇)」だもんな。悪いお人やでホンマ。
菊田さんも、ハブられてたのは全部有古に行動を起こさせるための演技でしかなく、初めからずっと鯉登誘拐事件の時と変わらぬ鶴見の忠臣でしかなかったんでしょうか。
「残念だよ。お前はあの塹壕から見えた月を忘れちまったんだな…」
もう完全に師団の人間だと、仲間だと思っていたのに、という嘆きでしょうか。でも、それは他にホームがない菊田の側だけに都合のいい理屈です。日本兵である前に、有古はアイヌです。
どれほどかけがえのない時間を仲間と共有したとしても、そのことがそれ以前に過ごした特別な場所を消し去って塗り替えるというわけではないし、また逆に、そのことが異なる地で仲間と共に生きた時間を嘘にするわけでもない。
一人の人間の中には一つの世界しかない、なんてことはないんです。だから一つの世界に縛り付けるような庇護は、限りなく支配に近いものだということを知っておかなくちゃならない。そうだろアシリパ(飛び火)
しかし苫小牧の殺害現場で遺品を回収したのは鶴見中尉である、という情報はわりと狭い範囲にしか共有されていない情報のようですね。誘拐事件の時の三人と、接触したインカラマッくらい?
尾形の持っていた『遺品に傷をつける』等の知識はもしかして有古由来ではないかと考えたりもしましたが…でもそうだとして、尾形が本格的に造反に乗り出したのは父上殺害後だろうから奉天で離脱した有古に鶴見側の情報を流す機会なんてどっちにしろ無かったか。
なんか師団内の誰しもが他の誰かに監視されている感じですね。五人組とかギルドとか、少人数の監視させ合うコミュニティを人為的に作ることは統治と支配に有効だとどっかで見たような気がしますが…。
有古の父親のマキリがどれかという事まで調べがついてるとか恐ろしい。指紋で特定したのかな? だとするとキロランケの指紋がついていたという話も信用していいのだろうか。

しかし今回初めて金塊強奪事件の“被害者側の遺族”という存在が明らかになり、そりゃそうだよな、殺された七人の方にも家族はいるよなあと改めてシュンと正座する気持ち。
考えてみればアシリパは加害者側の遺族なわけだ。といっても“殺したのは私じゃない”そうだが…。有古はのっぺら坊を恨んでいるだろうな。
ウイルクもキロランケも言ってみれば北海道アイヌの金塊を横から「君たちのためにもなる事だから」とかすめ取ろうとした異邦人なわけで、本来の金塊が集められた目的であった“和人に抵抗する意思”を持つアイヌアシリパとは別の方面から出てきたという事になる。
やる気もガッツもあるようだし「戦うのはアシリパさんじゃなくたっていいじゃないか」という杉元(と尾形)の主張がキロランケ亡き今少し現実味を帯びたと言えなくもない。というか杉元はともかく尾形は有古を知っているとして、その行動の幾分かには有古の存在が想定されていたんだったりして?
何にせよ宇佐美怖すぎ。風呂場覗いてるのも心霊的に怖いし、噛みついてるのも化け物的に怖いし、血管ビキビキ言わせてキレてるのもガイキチ的に怖くて恐怖の種類を一人でフルコンプしてる…なんなんだよその抉るようなコークスクリューブローは…
譲れない故郷と民族への信念のためやむなく裏切った真面目な有古でこの反応なら、特別近くに居たのに派手に裏切った孤高の山猫がこの宇佐美や菊田とカチ合ったら一体どんなキレ方をされるのかと思うと想像するだに恐ろしい。裏切者には死を!
しかもこれ「数時間前」ということはあの都丹さんとの合流まで有古はこの状況から数時間耐えたってことですよね。ここからがほんとうの地獄だ…。
でも都丹さんがご健在でよかったです。何とか無事逃げ延びてくれ有古。死ぬ思いで持ち出してきた人皮が偽物でも落ち込まないでね…。
杉元と鶴見の刺青が共有された今、他の陣営と被りのない刺青を着々と集めている土方勢が暗号に関しては一歩リードか?と思っていましたがここでこういう展開になるとはね。情報将校こわすぎ。

ということで一週休みの間に溜まったツイートを貼って来週を楽しみに待ちたいと思います。もす!