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長文置き場

金カム183話「狼に追いつく」感想

ハァ…(恐怖による疲労
次々と大きな秘密が明かされまくりで毎週すごいですね。
今週の話に入る前に先週の182話の雑感を↓


今週で改めて、インカラマッの言葉とウイルクの言葉の食い違いは何なんだろう?と疑問に思いました。
インカラマッはバッタ来襲時に「私が教える北海道アイヌの信仰や、土地のことや、言葉、私たちの食べるもの…すべて受け入れてくれました」と言っていた。しかしウイルクはアシリパに対し、「小樽で出会ったおまえの母は私の知らないことを全て教えてくれた、北海道のアイヌの言葉も、信じていることも全て」と語った。

ウイルクがインカラマッの存在を意図的に隠しているのか? 私はどちらかといえば、インカラマッの方が嘘をついているのではないか、と思えてきたんですが。女の涙に、騙されたんじゃないかってね…(これで外したら私はクソです)
ウイルクはインカラマッを知っていたし、着物を贈ったことは事実なんじゃないかと思うんですけど。ただ、鶴見中尉と通じているということが全てを怪しく見せるんだよな。中尉も中尉で知ってたわけだからウイルクを。いくらでも話は盛れるんとちゃうの?と思えてきてしまうんだな…
それにインカラマッは鶴見中尉のことは結局一度も裏切ってないんですよね。今臥せっているとはいえ鶴見中尉のとこに居るのも、完全にホームなんじゃないかと思えてきた。彼女、鶴見陣営じゃない?谷垣も今は鶴見陣営だけど。谷垣のことはしらん。情で動く人間のことは考察できない(情の薄い女)

以下から今週の感想↓


アチャの話になる度に外套の下の目元が黒く塗り潰されていたのは、コナンの眼鏡が光るみたいな、名状しがたい感情の表現かと思っていたんですよ。尾形も父子関係には複雑なものを抱えているものなあと。
でも違ったんですね。ヒントになり得る話がアシリパに齎されるその度、その影の下で、尾形はその反応をあんな風に"視て"いたんだ。鍵が開くその瞬間を見逃さないように、虎視眈々と。
怖ッ…
シャリ…案件だよ!妖怪だよお!
まさに冷徹。参加者としての温度が違いますわ。
ところで私は下記のように思いました。

つまり、なんか、尾形って金塊を葬ろうとしているのでは?
誰にも渡す気が無く、自分が獲ろうとも思っていないのでは?と。

金塊が本当に欲しいのならウイルク、そして何か情報を得たかもしれない杉元の、二人ともを殺すという選択は取らないのではないかと思うんですよね。普通保険でどちらか残しておくのでは? 読者も思ったでしょ? なんでせっかく何か分かりそうだったのに殺すんだって。
キロランケは別ですよ。彼はウイルクに私怨があるし、半ば身内みたいな色々見知った立場からアシリパに鍵があると確信してる。性格甘いし。
でも尾形はそこに全賭け出来る立場ではないし、性格ではないと思う。網走の時点でアシリパはまだ鍵を思い出してもおらず、本当にそんなものがアシリパの中にあるのかどうかも不確定だったのだから。根拠はキロランケの言葉しかない。確実に手に入れたいならそこに従うのはリスキー過ぎるのでは?
欲しいなら近くまで行った人間を鶴見中尉のように利用すればいいんです。泳がせて刺青人皮集めさせて、協力関係に持ち込むか、あるいはそいつから奪えばいい。
ましてや杉元は直接何か情報を得たかもしれない貴重な相手で、目的はたった二百円であることも尾形は知っています。皮も沢山持ってる。
そんなのお構いなしに金塊に一番近い二人ともを始末した理由なんて「金塊が見つかると困るから」以外に無いのでは?
いや杉元に成り代わりたかったとかいう言説もあるみたいですが…そんなみみっちい男じゃないと信じてるんで…ていうかそんな人間の考察は私には出来ない…(冷血な女)
でもそれならこないだの「ヒンナ」は? どういう気持ちやねん?と考えると、やっぱ“罪悪感”説にならざるを得ないっすね…ディフェンスで杉元殺したけどアシリパの悲しそうな反応見て「やべ…悪い事したな」って気持ちから出たヒンナ(済まん)という説を推すね。今の尾形はアレだから、勇作殿に罪悪感教えられたことを自覚した(かもしれない)御祓い済み尾形だから。草葉の陰で勇作さんも頭から血を流しながらニッコリだね(ごめんなさい)
キロランケに「あるいはアンタのことか」と言って杉元を撃った正当性を説明したのは、痛い所を突いて、キロランケにも金塊を掴ませる気が無い事を気取られないようにするため…

だからつまり、こないだは尾形を「金塊を求める人間を試す妖怪」と称しましたが、それ以上に「ゴールキーパー」なんじゃないかと思えてきました。金塊を求める人間を試すどころか阻んでいるのでは?
何のためにかは知らん。(ズコー)
だってそこはまだ何も明かされてないもん!!でも、もし尾形を動かす何らかの動機があるとしたら、それはやっぱり家族絡みなんじゃないかと思います。
過去篇全部家族のお話じゃないですか。尾形って家族思いキャラ…なんじゃないでしょうか(悪夢のような冗談)
思えば復活当初から堂々たる「バアちゃん子」宣言でスタートしましたからね。お母さんは父上に会えるようにアレしたし父上は元々切腹しなきゃいけないムードなのを引導渡した感じだしね。勇作さんは完全に尾形も憑りつかれるほど悪かったと思ってるから。結局誰のことも憎めてないし嫌えてないんですよ尾形は。家族のこと、大好き、なんだね…(NO KILL, NO LOVE.)

そうなると本当に危ないのは気付いたことに気付いたこの瞬間よりも、“アシリパ以外に金塊に辿り着くあてがない”と確定した瞬間なんじゃないかと。だって、そしたらアシリパを葬れば金塊を葬れることになりますから。
ただ尾形は少し期待していたんじゃないかな。アシリパ自身が金塊を葬ることを。
だからこないだの「それが本当にアイヌのためになるのか?」=金塊を使う意思がある→「…。(がっかり)」という視線だったのかなって。
アシリパさんは金塊の謎は本当に私にしか解けないものなのか見極める必要がある、そして争いを招くだけのものだとしたらその金塊は、葬るべきなのかどうか…という考えを抱くところまで来ましたが、内心とはいえその考えに至った現場に、尾形は残念ながら立ち会っていませんから。その頃高熱出して太鼓叩かれて幽作と蒸されて忙しかったから尾形は。

まああくまで思い付きの域を出ません。もし本当に“金塊葬る勢力”が出来れば面白いですが。池の水全部抜く的な。金塊全部失くす的なね。
でも重ね重ね言いますけど金塊葬りたい理由とか見当もつかないですけどね。まあ現実には北海道は独立してないので、金塊見つかっちゃうと正史に繋がらない明治兵卒浪漫譚になるわけですけど…(るろうに杉元)
金塊めっちゃほしいという線も当然残ってます。どちらにせよこの争奪戦に臨む“本気度”が違うなと思わされる尾形の観察眼であるのは確か。ただこいつ元々がチートだからな。シャリ…の妖怪だから。眼もいいし耳もいいからな…

あと思ったこと↓


ヤンデレ発言するキロランケをじっと見据えるアシリパさんの眼が印象的ですが、やはりアシリパさんは下手人に勘付いてるのでは…
あとウイルクのエピソードは何となく辺見を連想しました。林で見た猪が弟を殺す光景、森で見た狼が仲間を殺す光景…そこに魅入られ、そして息をするように平常心で人を殺せるようになった男たち…そういえばウイルクは刺青の囚人全員と一応面識はあるわけですね。会話はせずとも。そう考えると不思議だな…辺見ちゃんに刺青入れながらどう思ってたんだろ…(どうもこうも)
辺見ちゃんも杉元のことを「純粋で美しかった」と思うと思う。けれど杉元自身が「役立たず」と恥じる自分を乗り越えて、アシリパの役に立てる男に変われた時、その姿を辺見ちゃんが見たらキロランケみたいに「変わってしまった」と言うんだろうか。
そう考えると人の姿とは、人が人を求めるという事とは…。考え込んでしまいますね。

いやあそれにしてもラストページの怖さはすごいな。伏線回収のゾクゾク感も相まってあの目が本当に怖い。ほんと尾形のこと大好きだと思った(どうして???)