8番倉庫

長文置き場

金カム210話「甘い嘘」感想

“But I don’t want to go among mad people,” Alice remarked.
「でも私は気違いの所になんか行きたくない」アリスは言いました。

“Oh, you ca’n’t help that,” said the Cat: “we’re all mad here. I’m mad. You’re mad.”
「そいつは無理な相談だ」チェシャ猫は言いました。「この辺りの奴は、みんな気違いさ。俺も気違い。お前も気違いだ」

“How do you know I’m mad?” said Alice.
「どうして私が気違いなんだ?」とアリス。

“You must be,” said the Cat, “or you wouldn’t have come here.”
「でなきゃここには来ていないはずだ」とチェシャ猫。

Alice didn’t think that proved it at all: however, she went on: “And how do you know that you’re mad?”
そんなの何の証明にもなっていないとアリスは思いましたが、先を続けます。「じゃあ、お前はどうして気違いなんだ?」

“To begin with,” said the Cat, “a dog’s not mad. You grant that?”
「まず、犬は気違いじゃない。それはいいな?」とチェシャ猫。

“I suppose so,” said Alice.
「そうだと思う」とアリス。

“Well, then,” the Cat went on, “you see, a dog growls when it’s angry, and wags its tail when it’s pleased. Now I growl when I’m pleased, and wag my tail when I’m angry. Therefore I’m mad.”
「であるとして、だ。知ってるだろうが、犬は怒るとうなり、うれしいとしっぽを振るだろう。さて俺はというと、うれしいとうなり、怒るとしっぽを振るんだ。よって俺は気違いだ」

“I call it purring, not growling,” said Alice.
「それはうなってるんじゃない。のどを鳴らしてるっていうんだ」とアリスは言いました。

“Call it what you like,” said the Cat.
「お好きなように」チェシャ猫は言いました。

――ルイス・キャロル不思議の国のアリス』より

 

チェシャ猫のお土産

鶴見に惚れたきっかけの事件。そこに欺瞞があったのではないかという疑念を鯉登に抱かせる、尾形が落とした一滴の黒い染み…。
しかし「バルチョーナク(ボンボンが)」だけではまだ決定打に欠けるな、と思っていたら、なんと尾形にゃんは追加情報を残していた。

鯉登がどういう気付き方の変遷をしたのかなと考えて見ると、尾形が覆面の男の一人だったことはほぼほぼ確信していたとして、“月島もあの中に居たこと”は、鯉登が覆面の男の一人が尾形だったという疑いを口にしただけで「あれはロシア人ですよあなただって死体を見たでしょう?」と月島が淀みなく言い返してくるまでは半信半疑だったんじゃないかなとにらんでいる。
鶴見の背後で尾形と月島がロシア人の死体を運び出す光景が、鯉登の目にも入っていたのだと分かるコマ。
多分鯉登は踊り場で尾形とすれ違い、目が合った時、あの時の事後処理をしていた兵の片割れだということは気付いたのではないだろうか。だから長く見つめ合っても自然だった、相手もこちらを知っているという認識があるから。鶴見にときめいてその他の印象が残りにくい状況とはいえ、尾形は特徴的な男だし目にしたその顔を覚えている可能性は十分ある。
しかしそれだけではないような、違和感があったからこそしばらく目が離せなかったのだろう。尾形もそうして見つめ合った時に、鯉登が何か引っかかっている様子であることを見てとった。
そして当時の再現のような状況の中で呪文のように告げられた単語に、鯉登の中であの不思議な誘拐犯と、目の前で尾形がロシア語を喋ってみせた事実と、あの日死体を運ぶ尾形の顔に怪我をした形跡があったこと、自分が背後の誘拐犯に頭突きをかました記憶が、有機的に繋がった。あの誘拐犯が尾形であったとすると、誘拐事件そのものがきな臭くなること、もし狂言だったとして首謀者は鶴見であった可能性が限りなく高いこと、までは「バルチョーナク」で辿り着ける。
しかしだとしても、何のために? 動機の見当がつかない以上は荒唐無稽な話の域を出ない。
そこに絶妙な示唆を与える、尾形の残したヒント。
「今度鶴見中尉に会ったら…『満鉄』のことを聞いてみろ」
鯉登と尾形は、よくよく考えれば親が親友同士だから幼馴染でもおかしくないような関係性だ。しかし残念ながら尾形は血のつながりが“偶々”あるだけで息子扱いなんぞされてない他人だから、鯉登も基本的には平気で「山猫の子は山猫」と外部の者扱いしているが、それはそれとして生物学上の父親が幸次郎殿であることは事実なので、息子として父の友人である花沢中将をどう思っているのか、父の不当な自刃に何とも思わんのかといった疑念だけはその存在に常に紐付けて考えていたという感じっぽい。
だから『満鉄』とだけ言えば鯉登は勘付く…という予想が立てられる程度には、尾形は“自身が鯉登から花沢幸次郎の息子として意識されていること”に自覚的だった…という事実に情緒不安定になる。アアア~~~尾形どんな気持ちで~~~~?(いつもの発作)
誘拐事件の当時も音乃進少年が父上の親友の息子だっていう認識はあったのかな。あるか。「高貴な血統のお生まれだからな」な鶴見中尉ならわざわざ教えてくれそうだし。ハア~~~~目の前で“成功例”を見せられるのはつらいな~~~~

まあそれはそれとして話を戻すと、満鉄といえば花沢中将が反対していた件!→尾形といえば花沢閣下の息子!→尾形は鶴見どんが満鉄のことについて何か含むところがあると?→そういえば鶴見どんは満州にこだわっていた→ずっと尾形が父の自刃についてどう考えているのか疑問に思っていた→あの救出劇がでっちあげだったとかマジで?でもあれはやっぱり尾形だったとしか思えない→確かにそういう根回しを鶴見中尉ならやりかねない→不可解な中将殿の自刃にも鶴見中尉が関係していると言いたいのでは?
というような推理経過の中で、“尾形と一緒に死体を運んでいたもう一方の片割れ”が月島だった、という印象って鶴見と尾形の存在に比べて格段に薄いと思うんですよ。
記憶として「あの時のもう一人のやつ…月島じゃなかったっけ?」ぐらいの感じだと思うんですがどうでしょうか。そして自信がなかったとして、「あの誘拐事件の時お前居たよな?」とかこれまで月島に話題として振って確認するような事はしなかったと思うんですよね。プライド高い鯉登の性格的にも。
だからつまり、“間近で見た者としての断言”という様子バリバリで「あれはロシア人ですよあなただって死体を見たでしょう?」と即答したことは、あの事件にとても詳しいですと言ってるようなもので、月島は“ボロを出した”んじゃないかなって。
基本嘘が上手いというわけでもないのでしょう。顔に出さずに黙っておくのが一番だと知っているだけで。でもそれを差し置いても何故ボロを出したのかというと、尾形が鯉登に『満鉄』の情報を与えたこと、それによって「尾形が造反したのは父親を殺すだけでは満足出来ずに、我々を利用することで軍内での地位を手に入れ、ずっと手の届かない軍神として収まっていたかの存在に復讐したいのだ。所詮は尾形も、その父親への憎しみを、満鉄計画に邪魔だった花沢中将の排除のため鶴見中尉に利用されただけなのに…」という自己の中で築いた“愚かな尾形像”が鯉登の別視点からの追及によって損なわれたことがめちゃくちゃ地雷だったんじゃないでしょうか。
“自分は知っているが”、尾形は満鉄と花沢閣下の関係を知らないはずだったのに…と。そしてそれを鯉登に教えたということは、功名心のために動いているわけではない、何だアイツは何がしたいんだ、まさか鯉登の言うように親子で利用されたことを恨むような、そんなことはある筈はない、だってアイツは俺と同じく、
「何が不満なのか…父親を殺せてアイツも満足したはずだ」
鯉登もビックリですよ。そこまだ知らなかったから!!まさか尾形が殺したなんてそんなことまでは夢にも思ってなかったから!!鯉登ビックリしちゃうから!!

そこから堰を切った様にここではないどこかを見つめながらベラベラブツブツといつもの歯切れの良さはどうしたと言わんばかりのウニョウニョしたフキダシで恨み言ともつかぬ鶴見の手口の詳細を一人で語りまくる軍曹。怖い。怖すぎる。
死んだ目のままで一度も声を荒げたりすることなく恐ろしい事実を次から次へとぶっちゃけ、今まで何をしても何も言わずに忠実についてきた部下が「今聞いたことは全て胸にしまっておいた方が懸命です。いざとなれば鶴見中尉はあなただって平気で消す。そしてその汚れ仕事をするのは私です」=“俺がお前を殺すことになる”と宣告してくる悪夢。
呼吸、脈拍が乱れ、大量の冷や汗をかいていた鯉登は、沈黙の後…
「鶴見中尉スゴ~~~~~イ!!!!!」うわああーーーーっ!!!(悲鳴)
血管浮き出させながらその顔とそのポーズやめてよお!!ホラー合戦しないでよお!!!サーカスのせいで?サーカスのせいで二人ともそんなパフォーマーになったの?

いいこと教えてやるとばかりに重大情報を置いてった尾形にゃんもガッカリだよ…でももしかしてあれは鯉登なら気付くと見込んで伝えてったとかじゃなくて治療費払ってくれたお礼だったのかな? わりと義理堅いタイプだからな…と、最初はちょっとマジのリアクションの線で考えてました。いや今も四割くらいは思ってますけど。なんかガンソクさんの殴られて血管浮き出させながら「イイヨイイヨ!!」って悦ってる時のリアクションに似てるんだもん。ガンソクさんは素だったじゃん。鯉登もそういう性癖なのかなって…

でもキロランケの地雷でまんまとやられて部下に庇われ「おのれ…!!」と怒り心頭で一騎討ちした、あの“上に立つ者”としてのプライドの高さを思うとこんな「お前は利用される側から出られない」「俺は命じられればいつでもお前を消せる」というコケにしまくった主旨の発言を、良くも悪くも自分の付属物だと思っていた部下にかまされて「鶴見中尉スゴ~~イ!!」で済ませられるか? 「そんなに必要とされていたなんて嬉しいッ」で片付けられるか?と考えると、やっぱ演技なんじゃないかな~~と思う。
というかそうであって欲しい。ここで怒れないならそれはそこまでの男だったということですよ。いいように駒にされても鶴見が相手ならいいんか!?こんなコケにされてキレないなんて男じゃねえよ!!と私の中のバーサーカーが叫んでいる。浮き出た血管は、身の内では腸が煮えくり返っている証だといいな。
あるいはあまりの恐怖によるハイでもいいですけどね。月島怖すぎだもん。漏らしかねないレベル。
地べたで回転する鯉登を見下ろす月島はマジなのか、それとも演技なのか判別つきかねている様子。わりと鯉登の頭と人格を見くびっている(そしてそれは決して不当な評価というわけではない)ので余計にわからんという感じでしょうか。私も正直わからない。しかし尾形の助言が無駄にならないことを祈ろう。うまく立ち回れバルチョーナク!

結果オーライ

「何が不満なのか…父親を“殺せて”尾形も満足したはずだ」ですよ。何より良いことみたいに言わないでくださいよォ!!
月島にとって、彼女のことは父殺しのきっかけに過ぎなかったのでしょう。父のせいで起こされた彼女の不幸によって“はずみがついた”だけ。それよりずうっと以前から溜まりに溜めていた暗く黒く重いエネルギーが彼の内には常にあって、父を殺し何もかも失くしどうしようもなくなった身の上で、それでも「クソ親父だけは殺せたので満足です」と彼は言った。
鶴見の狡猾な手口を訥々と語るその憎らし気な口調。
「わざわざ9年越しに種明かしして…そうやって傷をほじくり返して、私を救うのにどれだけ労力を費やしたか訴えるわけです」
返報性の原理、というのが人間の心理にはあります。何かしてもらったら、それに報いなければならないと感じる心の作用。セールスなんかの界隈では基本中のきみたいな理論のようです。鶴見中尉は、とても上手くこの原理を運用していますね。
ああなんて馬鹿馬鹿しい。なんて姑息な。なんてくだらない。そうやってぶすぶすと燻るような嫌悪感を募らせ、それ以上にそんなやり方で利用されてしまった自分、逆らえない自分、まんまと転がされた自分の人生を、焦げ付くように卑下している。

誘拐犯の一人が月島だったと分かった時から、月島って思ってたよりもめちゃくちゃドライな人間だったんだなと認識を新たにしていました。彼は全てがどうでも良くて、何もかもくだらなくて、心の底では周りの人間すべてを見下しているんだなと思った。
見下しているというとまるで攻撃性があるみたいですけど、そういうニュアンスじゃなくて、例えば鶴見が網走監獄の人間を皆殺しにするつもりであることを知って本気かよと思いつつ、思うだけで全く止める理由がなかったみたいに、何もかも勝手に動く対象でしかなくて、いざという時は付き落とせない存在なんて一人もいないんだろうなというような。
鯉登がただの道化としてそこに在ることをずっと黙って横で見ている胸中。尾形が山猫と揶揄されていたことや、父に詫びる鯉登の背中に手を置いた仕草を見知りながら、その上で「中央の飼い猫め、父親へのコンプレックスを晴らすために仲間を売って利用しようとしているんだろう」という内容の言葉を投げるに至る視点。
彼は周りがおかしな行動をとる人間ばかりでも怒らず、いつも冷静で、理性的だけれど、それは心が広く寛大なのではない。期待していないだけだ。見くびっているだけだ。
でもそうやって利用されている側の人間は、自身も利用された人間だからこそ哀れめる。利用されていると知らない人間のそばに、利用されていると知っている人間として存在できる。
誰よりも近くで、誰よりも後ろ暗い汚いことまでも見知ってそこに居れば、利用されている人間の中で誰よりも優位に立てる。もう鶴見には敵わない、それだけは今後もずっと変わらない、取り返しのつかない事実なのだから、これが“最善”。
「尾形も満鉄と花沢閣下の関係まで知っていたとは。てっきり中央に鶴見中尉を差し出すつもりかと…」
江渡貝邸での罵倒は、鶴見がそういうことにして部下に説明したとかでも何でもなく、月島個人の推測に過ぎなかったんですね。
そして、月島は尾形が花沢中将自刃工作の主犯であることを知っていたと今回判明したのはでかい。
自刃が工作であると知らずに憤る鯉登や師団の者よりも、師団を騙す工作にかこつけて個人的な恨みを晴らせたと思っている尾形よりも、満鉄という具体的な理由を知っている自分は“利用する側”に誰よりも限りなく近い位置にいる人間の筈だったのに。
一体尾形が花沢幸次郎と満鉄、軍の目論見の話を知ったのは、どのタイミングなんでしょうね?
“何も知らずに利用される駒”という立ち位置から能動的に脱け出す素振りを見せる尾形の存在は、月島にとって目障りで仕方がないでしょう。
「我々を混乱させるためならあいつは何だって言いますよ」「冷静になってください鯉登少尉殿完全に尾形に操られています」このへんめちゃくちゃ機械音声みたいな口調で言ってそう。尾形尾形尾形。月島のリミッターを振りきれさせてバグらせるに十分な効力を発揮したその存在。
大したもんだよ、見事にひっかき回してるよ。今なら月島も尾形の似顔絵見せたら杉元とヴァシリと一緒にドンッてやりそう。ヴァシリんどこいった?
「何が不満なのか…」
「大変よろしいじゃないですか」
「でも途中経過で救われるんだから何の文句も無いはずだ」
「だって…何かとんでもないことを成し遂げられるのはああいう人でしょう?」
損失回避性という根本的な心理が人間にはあります。損をしたくない。損をしたと思いたくない。
「でもおかげで父親は殺せた」「でもそれで師団は安泰になる」「でもそれで道民に職が与えられる」「でもそれで戦友たちの弔いになる」「でもおかげであなた達親子は救われたじゃないですか」
変えようのない結果。でもその過程に副産物があるならばそれは利潤では?果実なのでは?
「でもまあ…別に良いんです。利用されて憤るほどの価値など元々ありませんから、私の人生には」
失うものなど何もない。ならば利益しかない。このサーカスはとてもおもしろい。来た以上は見なければ損だ。最前列でかぶりつきで。

もうね、過去の記事で、深く考えるとそれでいいんかいという事に無関心であり続ける態度はどうかと思うけど、経てきた苦労を活かしてスヴェトラーナ一家の人生を岩息ともども救った行いはとても素晴らしい善行だ、だからそのぶん報いられて欲しいと思う、とかなんとか言っていたことが最早申し訳ない。
「そうですね。何よりですね。大変結構なことでした」って全く表情を動かさずに言う月島さんの前で「うっ…はい…ごめんなさい…ううっ…軽々しいこと言って…ひい…」って泣きながら土下座したい。
怖い、怖すぎる。上で述べた誘拐事件の時に思った「ロクなもんじゃねえ!」という印象を実際は遥かにぶっちぎってヤバかったナメてた。
なんかもっと無自覚な感じだと思っていた。でもめちゃくちゃ自覚的でめちゃくちゃジットリしていた。
例えばマジでおかしいパワハラ上司に揃って説教されて、こんなにボロクソ言われて全然平気そうだな…慣れてるのかな…人種が違うんだな…と感心してたら、上司が一旦席を外したけどまだ全然近くにいるよっていうタイミングで横から「…ねよ……ズが……のか?……すぞ……」って延々ボソボソ…ボソボソ…って無表情のまま途切れずにずっとなんか言ってるのが聞こえてきてヒエッ…ヒエエエ!?って怯えるみたいなヤバさ(なんだその例えは)
もしかしてこの人すごいギリギリでは!?ギリギリな人なのでは!?みたいな。スイッチ入ったらマジで人を刺せるしそのスイッチの場所が全然読めないし入った瞬間全然わかんないみたいな。
なんか杉元と相性悪そう。実は家永とかと相性よさそう。なんかね、思ってたよりずっとジトジトしてたんですよ…
そしてそんな卑屈アンド卑屈な、虎を憎みながら虎の威の強さを信仰しているアンビバレンツな陰湿さが露わになった月島さんめちゃくちゃ魅力的だな…と好感度がうなぎのぼりしました。
やべえよある意味めちゃくちゃ強いよ。彼はいざという時に騙されない冷静さも、隠された部分を見通す慧眼も、見下しているボンボンを騙せる狡猾さも、悲しいかな能力として持っていない。鶴見に敵わない。打たれ強さと経験と屈強さしかないゴリゴリの軍人でしかない。
でも彼には人間の才能があるんだ。それは尾形には無いもので、月島の最大の長所であり美点であり能力なんだ。彼は自分では絶対そんなことしないと今は思っているけど、その気になったら、支配者を刺す。そして刺した事に適応できる人間なんじゃないか。何もかも正当化してしまえるんだ。疑問を黙殺する能力、最も人間が“生きる”のに必要なもの。
「“でも”良かったじゃないですか」と、彼はどんな地獄に落ちても口に出来るのだろう。
はんぱねえ…。突き抜けると尊敬の念が生まれてしまう。私も月島ホラー劇場を最後まで見たいですよ…席はなるべく遠い方でいいですけど…

そして二人で座卓の前に座って部屋にいる光景が、なんだか非常に違和感と距離感を感じさせる主人公お二人。大丈夫?気まずくない?
「ちがう…アイヌはどうなる?」
少しずつお互いの認識のずれを直し始めているのですね。アシリパは杉元の考えを否定しない代わりに、お互いの行動を分けて考え、どんどん線を引き始めているような印象もありますが。杉元は今後とるべき自己の態度を暗中模索中という様子。
ただ、対話が進むのは喜ばしいんですけどやっとそこか…という感じもあるな。早く『アイヌの偶像』というワードまで進んでほしい。尾形は相手と関係のない話をここではないどこかを見ながらベラベラとまくしたててた訳じゃないって早くわかってほしいんですう!実はちゃんと考えを進めていくとぶつかる問題のことを言ってたんですう!ここまでヤバい人じゃないんですう!!(泣き出す)